吉野 弘の名言
祝婚歌
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと
気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することになっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで 疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとか
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
吉野 弘 Hiroshi Yoshino
詩人 1926〜2014
Wikipedia
これから新たな道を共に歩んでいくカップルに贈られる詩のようですが、ここに書かれていることはカップルとして、友人として、同僚としてなど、あらゆる人間関係を円滑にしていくために同じようなことが言えるのではないかと思います。
この詩の素敵さもさることながら、吉野弘さんの著作権に関するお考えに感動しました。
吉野弘さんの著作権に関するお考え。
『人生の達人たちに学ぶ~渡る世間の裏話』
(早坂茂三著:東洋経済新報社刊)より
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早坂:吉野さんは「祝婚歌」を「民謡みたいなものだ」とおっしゃっているように聞いたんですけど、それはどういう意味ですか。
吉野:民謡というのは、作詞者とか、作曲者がわからなくとも、歌が面白ければ歌ってくれるわけです。だから、私の作者の名前がなくとも、作品を喜んでくれるという意味で、私は知らない間に民謡を一つ書いちゃったなと、そういう感覚なんです。
早坂:いいお話ですね。「祝婚歌」は結婚式場とか、いろんなところからパンフレットに使いたいとか、随分、言って来るでしょう。ただ、版権や著作権がどうなっているのか、そういうときは何とお答えになるんですか。
吉野:そのときに民謡の説を持ち出すわけです。民謡というのは、著作権料がいりませんよ。作者が不明ですからね。こうやって聞いてくださる方は、非常に良心的に聞いてくださるわけですね。だから,そういう著作権料というのは心配はまったく要りませんから....
早坂:どうぞ自由にお使いください。
吉野:そういうふうに答えることにしています。
自然は本来すべてを惜しみなく与えてくれています。
人間だけどうしてこうも奪いあうのでしょうね。
権利を主張したり、奪い合わないと生きていけない環境自体が不自然です。
More and Moreを追求して行った先にあるもの。これを後世に残してはいきたくないものですね。
どこかで気づいてやめる勇気も大切なチャレンジでしょう。
追求できることは無限にあります。
生み出したものを奪い合うよりは、どんどん新たなものを見つけることにエネルギーを使った方が間違いなく人類の進化に繋がります。
模倣が本物を超えることはありません。
真似される、多くの人に活用されるものを生み出す、見出す能力は誰にでも果てしなく授けられています。
どうぞ果てしなく追求していってください。
あなたの天賦の才で人類が幸せになる、いつまでも語り継がれる動揺、民謡を創り出してください。
(浜本 哲治)